旦那闘病記。その1
久しぶりに見た、モノクロの画像。
操作音の度に、静止画が動画のように次々に動く。
ここが脳幹で、側頭葉。
この丸いのが眼球。
医師の説明を聞くけれど、目は一点に釘付けだった。
見事に真っ白に写る、細長いもの。
「クリップもちゃんと機能してます。現状、問題がありそうな箇所はないですね。経過観察は続けましょう」
医師の言葉で隣に座る旦那が、小さく息を吐いた。
発症から、6ヶ月を越えた。
経過観察は続く。
けれど。
診察室を出て、待合室のベンチに並んで座ってから、どちらともなく片手を上げて、小さな小さなハイタッチをした。
ここまで回復したことに、安堵して。
発症したのは、2017年5月末。
本当になんの予兆もなく、旦那は発症した。
病名は、くも膜下出血。
これは、
突然の病に振り回された夫婦の数ヶ月の記録になる。