日々平穏、善哉善哉。

南四国でアラフォーのオバチャマが、好きなものをひたすらに叫ぶだけのブログです。ごくごく稀に真面目な話もあります。

ファンとは。その②

続きます。

10年以上前の話です。

とある方のファンが、身近にいました。
それはそれは熱狂的なファンで。
お相手は外国の俳優さんでしたが(音楽活動もしていましたね)、もう常に俳優さんのことを考えている方でした。
その俳優さんの母国語を勉強し、いつか俳優さんと母国語で会話をしてみたいという夢を持っている彼女。
当時、彼女の周りにはその俳優さんが出ていたドラマのファンも多く、集まると必ず俳優さんの話で盛り上がっていて、ちひろはファンでもドラマも見ていなかったけれど、

へー、そういう人なんだ。
ほー、すごい人なんだなぁ。

と俳優さんを熱く語る彼女の話を、聞いていたものでした。


ある日。
彼女が、
「テレビでね、違う人のファンを見てね」
うん。
「外国の俳優さんなんだけど、その人の誕生日に、日本のファンが何人かでその人の実家に行ってて」
実家?外国に?何しに?
「お母さんが1人で住んでるんだって。ピンポンして、出なかったから、門扉の前に花束と、○○さんを産んでくれてありがとうって書いた手紙を置いてて」
………え?
「来れてよかったですって泣いててね〜」
………う、うん。

続いた彼女の言葉は、今でも覚えてます。


「気持ち、すっごい分かるけど。なんでそこで諦めたのかな?門扉の前なんて、気味悪がられて、捨てられるのに。ご近所さんに頼んで渡してもらえばいいのに。会いに行くためにわざわざ行ったんだから。そんなところで遠慮するなんて、変じゃない?」


絶句、でした。
そもそもの話からして、違和感しかないのに。
彼女の言葉は、まったく理解出来ませんでした。

彼女のために一言言えば、
普段は穏やかな、優しい人です。
少しお節介焼きなところはありますが、それは違うんじゃない?と言えば、ちゃんと理解して、ゴメンなさい、自分が悪かったと言える人です。

だからその時も一言言ったのです。

あのさ。
見ず知らずの人が家に来て、
インターホン鳴らしても、出ないことあるでしょ?
ご近所さんも、お願いされても困るんじゃない?
受け取っていいものかなんて、ご近所さんは知らないし。
そもそも、「わざわざ行った」は、ファンの人の論理であって、お母さんやご近所さんにはまったく関係ないでしょ?

「え? だって、ファンなんだよ?息子さんの。当然会ってくれるでしょ?許されるものでしょ?」

再び絶句。
どうなっている、この論理。

ファン=許される。

そんな論理、一方的な「押し付け」で、身勝手でしかないのに。

その日はもう、たしなめる気分にもなれず、話はそこで終わりました。


やっぱり長かった……その③へ。